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世界の主な資源企業について。

Barrick Gold(バリックゴールド)


Barrick Gold(バリックゴールド)はカナダの産金最大手であり、金生産量は世界一。米州を中心に世界各国で事業展開しており、合計で約30の金・銅鉱山の権益を所有している他、生産量の拡大に向けた多数の開発プロジェクトを所有している。本拠を置くカナダの主要証券取引所であるTSX(トロント証券取引所)や米国のNYSE(ニューヨーク証券取引所)に上場しており、TSXの主要株価指数であるS&P/TSX Composite Indexに採用されている。

設立年は1983年と、他の産金大手と比較して新しい企業であるものの(米国のNewmont Miningは1921年、南アフリカ共和国のAngloGold Ashantiは1944年)、積極的な買収攻勢により事業規模を急拡大。特に、1996年のArequipa Resources買収ではペルー最大級の金鉱床であるPierina(ピエリナ)プロジェクトを取得。保有埋蔵量を大幅に拡大する。そして2005年には産金世界5位であった競合企業Placer Dome(プレーサー・ドーム)を買収することによって産金世界一のNewmont Mining(ニューモント・マイニング)、同2位のAngloGold Ashanti(アングロゴールド・アシャンティ)といった大手企業の産金量を抜き、世界一の座を獲得する。


また金の価格変動によるリスクを最小限に防ぐためにヘッジ取引(先物売り)を大量に行うことで、金価格下落にも対応できる体制を整え、産金企業としての強固な地盤を築き上げる。しかし、金価格高騰の恩恵を受けることができないため金価格上昇局面においてヘッジ解消を進めており、全ヘッジ解消が2009年末に完了している。


主産物である金・銅の他、世界最大の白金(プラチナ)生産地域である南アフリカ共和国のBushveld(ブッシュフェルド)コンプレックスやロシア北西部で白金開発プロジェクトも展開している。


2010年にはアフリカでの生産部門において新会社African Barrick Gold(アフリカン・バリック・ゴールド)を設立してLSE(ロンドン証券取引所)に上場させる計画を立てている。Barrick Goldは新会社の株式75%所有する見通し。





Barrick Gold(バリックゴールド)エリア別金生産量

Barrick Goldの金生産エリアは北米、中南米(ペルー、アルゼンチン、チリ)、オーストラリア、パプアニューギニア、アフリカ(タンザニア)。他企業の買収により生産エリアを米州から世界各国へ拡大しているものの、従来からの主力である米州からの生産がなお大きな割合を占める。特に米国・ネバダ州のCarlin Trend(カーリン・トレンド)にあるBetze-Post(ベツェ・ポスト)、Meikle(メイクル)、Rodeo(ロデオ)鉱山で構成されるGoldstrike(ゴールドストライク)での生産が主力。


北米・南米両エリア合計の金埋蔵量はBarrick Gold全体の70%近くを占める(2007年で北米35%、南米32%)。生産量では北米が全体の40%弱、次いでオーストラリア・太平洋諸国が約26%、南米も約26%。


中南米においては、1994年に米州で事業展開していたLac Mineralsの買収によりアルゼンチンのVeladeroプロジェクトの権益を取得。そして1996年にArequipa Resourcesを買収することでペルーのPierinaプロジェクトを取得している。チリでは第Ⅲ州南東部で複数のプロジェクト権益を所有しており、アルゼンチンとチリ国境にまたがる大規模プロジェクトであるPascua-Lamaプロジェクトは世界最大級の金埋蔵量を持つ。

オーストラリアでは2001年のHomestake Mining Company(ホームステーク・マイニング)の買収により同国最大の金鉱山であるSuper Pit(スーパー・ピット)鉱山(Kalgoorlie JV)の権益を所有している。Super Pit鉱山は米国の産金最大手Newmont MiningとのJV。

アフリカではタンザニアで金開発を行っていたSutton Resourcesを買収してタンザニアの資産を取得し、2001年よりBulyanhulu鉱山から金生産を開始している。Northern Mining ExplorationsとのJV含め2009年ではタンザニアで4鉱山を所有しており、2009年にBuzwagi金鉱山からの生産が開始されている。アフリカでは新会社を設立してLSEに上場させる計画を立てている。

その他、ドミニカ共和国では同業大手Goldcorp(ゴールド・コープ)とJV、パキスタンでは金の他に銅もターゲットとしたプロジェクトを英国の銅生産大手Antofagasta(アントファガスタ)とJVで展開している(Reko Diq銅・金プロジェクト)。


Barrick Gold(バリックゴールド)金生産量の推移グラフ

Barrick Goldの2009年の年間総金生産量は約740オンスであり、前年比微減となっている。トータルキャッシュコストは全体でオンス当たり474米ドルであるのに対して南米におけるコストがオンス当たり253米ドルとかなり低い。


2010年にはCortez Hillsプロジェクトからの生産開始などを見込んで年間760万~800万オンスの金生産の計画を立てている。

参考:各社HP