オーストラリア
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DISERによればオーストラリアの2021年における年間亜鉛生産量(鉱山生産)は約130万トン。※世界3位の亜鉛生産国であり、世界全体の年間亜鉛生産量の約10%を占める。
オーストラリアでは亜鉛生産は鉛や銀など他の資源とともに生産されている。主にクイーンズランド州(Queensland)を中心として国内広域にわたって亜鉛生産が行われており、2021年ではクイーンズランド州の生産量がオーストラリア全体の年間亜鉛生産量の約58%を占めている。一部の鉱山の亜鉛生産量が突出しており、生産企業としては資源メジャーGlencoreがオーストラリア国内の亜鉛生産において大きなシェアを持っている。
クイーンズランド州
オーストラリア国内最大の亜鉛生産州である同国東部のクイーンズランド州では州内西部に亜鉛鉱山が集中しており、George Fisher、Lady Lorettaといった複数の鉱山で構成される国内最大の亜鉛鉱山であるMount Isa鉱山から国内全体の年間亜鉛生産の約25%を占める年間30~35万トンクラスの亜鉛が生産されている。同鉱山は国内最大の亜鉛生産企業であるGlencoreが所有しており、亜鉛生産だけでなく鉛や銅の生産量においても国内最大級であり同社の主力鉱山の1つとなっている。
Mount Isa鉱山の近隣では中国の国営企業MinmetalsグループのMMGによってDugald River鉱山から年間15万トンクラスの亜鉛が生産されている他、同鉱山の南部では世界最大級の銀鉱山であるCannington鉱山(国内企業South32)から年間6~7万トンクラスの亜鉛が生産されている。
2016年に生産をストップした国内最大級の亜鉛鉱山であるCentury鉱山では国内企業New Century Resourcesによって鉱山生産過程で生じる尾鉱からの資源の抽出が行われており、年間12万トンクラスの亜鉛が生産されている(Century Tailings)。
その他の州
クイーンズランド州に次いで国内2位の亜鉛生産州であるノーザンテリトリー(Northern Territory)ではGlencoreがMount Isa鉱山に次ぐ亜鉛生産規模を持つMcArthur River鉱山から年間28万トンクラスの亜鉛を生産している。
ニュー・サウス・ウェールズ州(New South Wales)では100年以上の操業歴史を持つBroken Hill鉱山(Potosiなど複数の鉱山で構成)から香港企業グループの国内企業Perilyaによって年間5~6万トンクラスの亜鉛が生産されている他、同鉱山の近隣では東邦亜鉛グループのCBH ResourcesがRasp鉱山から年間2万トンクラスの亜鉛を生産している。
同国南部のタスマニア州(Tasmania)では多資源鉱山であるRosebery鉱山から年間6万トンクラスの亜鉛が生産されている(MMG)。また同州でも尾鉱からの資源抽出が行われている(Hellyer鉱山、NQ Minerals)。
UN Comtradeによれば2021年ではオーストラリアは世界最大の亜鉛(精鉱)輸出国となっている。総量ベースで約210万トンの亜鉛が主にアジアへ輸出されており、中国・韓国・日本の主要輸出先3か国への亜鉛輸出量合計がオーストラリア全体の年間亜鉛輸出の約83%を占めている。
USGSによれば2021年におけるオーストラリアの亜鉛埋蔵量は約6900万トンとされている。世界最大の亜鉛埋蔵国であり、世界全体の亜鉛埋蔵量の約27%を占めている。可採年数は約53年。
※2021年の世界全体・オーストラリア以外の各国の亜鉛生産量データはUSGSによる推定値(世界全体で約1300万トン)。データの無い国除く
参考:Department of Industry, Science, Energy and Resources、U.S. Geological Survey、Geoscience Australia、Department of Regional New South Wales、Northern Territory Geological Survey、Department of Home Affairs、United Nations Comtrade、各社HP