米国
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USGSによれば米国の2020年におけるモリブデンの年間生産量は約51,100トン。世界3位のモリブデン生産国であり、世界全体の年間モリブデン生産量の約17%を占める。
米国では同国西部を中心にモリブデン生産が行われており、アリゾナ州(Arizona)、ユタ州(Utah)、モンタナ州(Montana)で銅の副産物としてモリブデンが生産される他、コロラド州(Colorado)ではモリブデンを主産物とした鉱山から生産が行われている。
米国のモリブデン生産においては世界最大級の銅生産企業である国内企業Freeport-McMoRanや資源メジャーRio Tintoが大きなシェアを持っており、2020年において2社が生産を行っている鉱山からのモリブデン生産量が米国全体の年間モリブデン生産の90%以上を占めている。
アリゾナ州ではFreeport-McMoRanがMorenci(住友金属鉱山とのJV)、Bagdad、Sierrita鉱山といった複数の銅鉱山から年間計15,000トンクラスのモリブデン生産を行っている他、コロラド州ではClimax、Hendersonのモリブデン2鉱山から年間計10,000~15,000トンクラスのモリブデンを生産している。ユタ州ではRio Tintoグループが所有するBingham Canyon銅鉱山から年間20,000トンクラスのモリブデンが生産されている。またアリゾナ州のPinto Valley鉱山(カナダのCapstone Copper)から銅の副産物として生産されるモリブデンはごく少量となっている。
モンタナ州では国内企業Washington CompaniesグループのMontana Resourcesによって年間3,500~4,000トンクラスのモリブデンが生産されている(Continental鉱山)。またポーランドのKGHMグループが所有するネバダ州(Nevada)のRobinson銅鉱山からも少量のモリブデンが生産されている。アイダホ州(Idaho)にある国内最大級のモリブデン鉱山(主産物)であるThompson Creek鉱山(※Centerra Gold)は2014年に生産ストップしている。
米国で生産されたモリブデン(精鉱・鉱石)は主にオランダやベルギーなど欧州を中心に輸出されている。
USGSによれば2021年における米国のモリブデン埋蔵量は約270万トンとされている。中国に次いで世界2位のモリブデン埋蔵国であり、世界全体のモリブデン埋蔵量の約17%を占めている。
※Centerra Goldは2016年にThompson Creek Metalsを買収しThompson Creek鉱山を取得
参考:U.S. Geological Survey、各社HP