オーストラリア
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USGSによればオーストラリアの2020年における年間鉄鉱石生産量(鉱石ベース)は約9億1000万トン。世界最大の鉄鉱石生産国であり、世界全体の年間鉄鉱石生産量の約37%を占める。
オーストラリアでは西オーストラリア州(Western Australia、WA)北西部のPilbara地域を中心に鉄鉱石生産が行われており、DISERによれば西オーストラリア州での鉄鉱石生産がオーストラリア全体の年間鉄鉱石生産量の約99%を占めている。さらに同州では世界最大級の鉄鉱石生産企業であるBHP、Rio Tinto、Fortescue Metals Group(FMG)の3社が圧倒的な生産シェアを持っており、3社でオーストラリア全体の年間鉄鉱石生産の90%近くを占めている。また複数の日本企業が資源メジャーとJVを組んで鉄鉱石鉱山の権益を所有し、鉄鉱石の安定供給に努めている。
西オーストラリア州
オーストラリア国内西部の西オーストラリア州では国内最大の鉄鉱石生産企業であるRio TintoがPilbara地域を中心に複数の鉄鉱石鉱山から※年間計3億トンを超える鉄鉱石を生産している。中でも主力であるHamersley鉱山からの生産が同社の年間鉄鉱石生産量の約3分の2を占めている。またRio Tintoは国内企業Hancock ProspectingとJVでHope Downs鉱山から年間5000万トンクラスの鉄鉱石を生産している他、三井物産や日本製鉄とJVで複数の鉱山から年間計6000万~6500万トンクラスの鉄鉱石を生産している(Robe River JV)。Hancock Prospectingと丸紅などアジア企業とのJVであるRoy Hill鉱山では年間6000万トンクラスの鉄鉱石が生産されている。
オーストラリア国内でRio Tintoに次ぐ鉄鉱石生産規模を持つBHPは三井物産や伊藤忠商事をはじめとしたアジア企業とJVを組んで鉄鉱石生産を行っており(Western Australia Iron Ore、WAIO)、Yandi、Newman、Jimblebarなど複数の鉄鉱石鉱山から年間計2億8000万トンクラスの鉄鉱石を生産している。
国内鉄鉱石生産3位のFMGは同社の主力であるCloudbreakとChristmas Creekの2鉱山で構成されるChichester Hubの他、同Hubの西に位置する複数の鉄鉱石鉱山で構成されるSolomon Hubなどから年間計1億7000万トンクラスの鉄鉱石を生産している。
西オーストラリア州で生産された鉄鉱石は同州北西部にある主要鉄鉱石積出港であるポートヘッドランド(Port Hedland)をはじめとして、ランバート岬(Cape Lambert)やダンピア港(Dampier)などから主に中国や日本などのアジアへ輸出されている。
その他の州
オーストラリア国内南部の南オーストラリア州(South Australia)では英国企業SIMECがMiddleback Ranges鉱山から年間500万~1000万トンクラスの鉄鉱石を生産している。またタスマニア州(Tasmania)では国内企業Grange ResourcesがSavage River鉱山から年間250万トンクラスの鉄鉱石生産を行っている。
オーストラリアは世界最大の鉄鉱石輸出国であり、DISERによればオーストラリア全体で2020年に年間約8億6700万トンの鉄鉱石が輸出されている。中国への輸出量がオーストラリアの年間鉄鉱石輸出全体の約81%を占めている。
USGSによれば2021年におけるオーストラリアの鉄鉱石埋蔵量は鉱石ベースで約510億トン(鉄含有量ベースで約250億トン)とされている。世界最大の鉄鉱石埋蔵国であり、世界全体の鉄鉱石埋蔵量の約28%を占めている。
※Rio Tinto、BHPの鉄鉱石生産量は権益100%ベース(生産量グラフ除く)
参考:U.S. Geological Survey、Department of Industry, Science, Energy and Resources、Geological Survey of Western Australia、各社HP